チャリの呼び声

教員の仕事や趣味の自転車等について(新しい自転車が届くまで部活動死ねブログ)

4月から部活動は変わるのか

昨年(2022年)の12月にスポーツ庁が出した

学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン(令和4年12月):スポーツ庁

から面白いなと思った部分を抜粋してみたいと思う。

 

─────

まずはガイドライン本体ではなく、「学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」の策定及び学校部活動の地域連携・地域移行に関する関連制度の運用について(通知) から

 

2 教師の人事における部活動の指導力の評価等
教師の人事における部活動指導力の評価等については、以下の点について、適
切に対応いただきたいこと。
① 教師の採用において、これまでは教師が部活動指導を担うことが多いため、
部活動指導に係る意欲や指導できるスポーツ・文化芸術活動などについて、面
接や志願書類などを通じて把握し、評価している場合があるが、今後、学校部
活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に伴い、面接等に際して、教師が部
活動の指導をすることを前提として部活動指導に係る意欲や能力等を評価し
ている場合について、学校部活動の状況や地域におけるスポーツ・文化芸術環
境の整備状況等も勘案して、必要な見直しを行うことも考えられること
② なお、同じ趣旨から、教師の人事配置においても、部活動指導に係る能力や
意欲、実績等を過度に評価していることがあれば、適切に見直すこと。
③ このほか、初任者研修等に十分な時間を確保することが求められる新規採用
の教師や、育児や介護等の事情を抱える教師に配慮する観点から、部活動指導
に関する取扱いを明確化すること。

何が書かれているか理解するためには、教育現場で現状を何が行われているか理解しなければいけない。

 

まず建前:

部活は教育課程「外」(文部科学省)(=つまり教師の仕事ではない)

・部活動を理由として勤務時間外の業務は命令できない(政令

 

現状:

・校長は部活動顧問を校務分掌として教員に割り振ることができる(東京都の条例)

・校務なのは17時まで。17時以降や土日は顧問が希望して校長は許可することができる。(つまり17時以降は仕事ではない)(東京都教育長)

・教員が自主的に活動してるだけなので平日の残業代は出さない。ただし休日は4時間以上で4000円(3時間なら0円なので4時間拘束されることになる、4時間以上でも一律4000円)、対外引率5200円支給(公式大会は1日拘束されるのでどちらも最低賃金以下)(これは東京都の金額)

・教員採用試験では指導可能な部活動を申告する記入欄があり、面接試験でも質問される。

・教員の人事評価のための自己申告書には部活動に関して特別活動として報告する欄があり、人事面接でも勘案され、校長の評価シートにも評価欄がある。

・教員の異動は指導できる部活が非常に大きく左右する。指導者がいないという理由で部活をつぶしたり、指導力のある顧問から無い顧問に代わると保護者からクレームが来るため。

・部活の主顧問を進んでやってる連中は部活がしたくて教員をしているため、異動が近づくと、その部活の顧問に空きが出そうな学校の情報を顧問同士のコネでいち早く手に入れ、校長に働きかけて内定をもらったりする。

・それでも全部の部活の主顧問が埋まるわけではないため、立場の弱い新規採用者は大体主顧問を押し付けられて授業準備どころでなくなる。

 

 

教員の人事の主導権が部活に奪われていたのを取り返すつもりらしい。

どう考えても仕事でないとされているもので教員の採用・人事・評価を行ってきたのはコンプライアンス違反であった。

このせいで、教科に関して知識を持つ教員よりも、教科指導そっちのけで部活をにいそしむの準体育教師(体育の教員免許を持たないくせに教科よりも部活に熱をあげる脳筋教員を私はこう呼んでいる)のほうが発言力があるという状態になってしまった。この辺の話もいろいろあるのだが。

ここに来てようやく国が何とかする気になったようだ。

 

─────

ここからはガイドライン本体

①学校部活動・地域クラブ活動の評価方法の明確化について
学校部活動については、高等学校入学者選抜における取扱いが明らかでないこ
とによって、生徒や保護者による学校部活動への過度な期待や、本人の意思に反
した形での加入・継続等の状況を招いているとの指摘があること。こうしたこと
を避けるため、学校部活動・地域クラブ活動等の諸活動の評価の有無、評価に用
いる場合の方法や評価の観点等については、入学者選抜実施要領や各高等学校の
ホームページ等において分かりやすく示すように努めていただきたいこと。
また、学校部活動・地域クラブ活動は、あくまでも、生徒の自主的・自発的な
学校内外の諸活動の一つであり、学校部活動・地域クラブ活動に参加していないことや、途中で退部したこと、他の活動に移ったこと等のみをもって高等学校入
学者選抜において不利に取り扱うことは適切でないと考えられること。

 

まさに1番最初の記事で書いたとおり。

生徒の自主的な活動といいつつ、明らかに高校入試で優遇してきていた。教員の評価でやってきたのとまったく同じ構造。完全にコンプライアンス違反。

やっと直す気になったのか。

これだけ教育現場に部活馬鹿が増えてしまったのだから、今後調査書にも一切部活をの記録を載せてはいけないし、受験生の高校入試前の部活動体験も禁止して、面接でも部活についての質問はしないとか規制をするべきだ。

つい先日推薦入試があったが、最初の記事で書いたとおり、今年も受験生の部活動の話題で面接官を担当した顧問連中が盛り上がっていた。

 

 

─────

(2)指導・運営に係る体制の構築
ア  校長は、教師だけでなく、部活動指導員 や外部指導者など適切な指導者を
確保していくことを基本とし、生徒や教師の数、部活動指導員の配置状況を踏ま
指導内容の充実、生徒の安全の確保、教師の長時間勤務の解消等の観点から
円滑に学校部活動を実施できるよう、適正な数の学校部活動を設置する

 

カ 学校の設置者は、各学校の生徒や教師の数、部活動指導員の配置状況や校務
分担の実態等を踏まえ、部活動指導員を積極的に任用し、学校に配置する。また、
教師ではなく部活動指導員が顧問となり指導や大会等の引率を担うことのでき
る体制を構築する。部活動指導員が十分に確保できない場合には、校長は、外部
指導者を配置し、必ずしも教師が直接休日の指導や大会等の引率に従事しない
体制を構築する

 

都道府県及び市区町村は、少子化に伴い、単一の学校では特定の分野の学校部活動を設けることができない場合や、部活動指導員や外部指導者が配置できず、指導を望む教師もいない場合には、生徒のスポーツ・文化芸術活動の機会が損なわれることがないよう、当面、複数校の生徒が拠点校の学校部活動に参加する等、合同部活動等の取組を推進する。

部活動指導員が単独で引率ができるようになるのは大きいだろうけど、確保できるんだろうか。

指導を望まない場合は顧問を拒否し易くなりそうではあるが。

─────

イ 運動部活動の部活動顧問、部活動指導員及び外部指導者は、スポーツ医・科
学の見地からは、レーニング効果を得るために休養等を適切に取ることが必
要であること、また、過度の練習がスポーツ障害・外傷のリスクを高め、必ずし
も体力・運動能力の向上につながらないこと等を正しく理解し、分野の特性等を
踏まえた効率的・効果的なトレーニングの積極的な導入等により、休養等を適切
に取りつつ、短時間で効果が得られる指導を行う。

 

3 適切な休養日等の設定
ア  運動部活動における休養日及び活動時間については、成長期にある生徒が、運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることができるよう、スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間に関する研究 10も踏まえ、以下を基準とする。


・ 学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。(平日は少なくとも1日、土曜
日及び日曜日(以下「週末」という。)は少なくとも1日以上を休養日とする。週
末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り替える。
・ 長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分
な休養を取ることができるとともに、学校部活動以外にも多様な活動を行うこと
ができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週
末を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果
的な活動を行う。
文化部活動における休養日及び活動時間についても、成長期にある生徒が、教育
課程内の活動、学校部活動、学校外の活動、その他の食事、休養及び睡眠等の生活
時間のバランスのとれた生活を送ることができるよう、同様とする 11。

 

スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間について」(平成 29 年12 月 18 日公益財団法人日本体育協会)において、研究等が競技レベルや活動場所を限定しているものではないことを踏まえた上で、「休養日を少なくとも1週間に1~2日設けること、さらに、週当たりの活動時間における上限は、16 時間未満とすることが望ましい」ことが示されている。11 学校教育法施行規則に定められている中学校の各学年の年間標準授業時数を、学習指導要領に示された年間 の授業週数に照らして1週間当たりに換算すると、1週間当たりの授業時数は 29単位時間(24 時間 10 分)である。一方、スポーツ庁「平成 29 年度運動部活動等に関する実態調査」によれば、中学校の文化部活動の1週間の活動時間が「14 時間を超える」と回答した生徒の割合は全体の 42.0%、「21 時間を超える」と回答した 生徒の割合は全体の 21.7%であり、学校の教育活動の中心である教育課程内の活動と比して、部活動の時間がそれに匹敵する程度に長時間になってしまうことは、生徒の負担等の観点から適切ではないと考えられる。こうしたことを踏まえて、本ガイドラインでは、1週間当たり長くとも 11 時間程度となる文化部活動の活動時間の基準を定めた(平日は少なくとも1日、週末は少なくとも1日以上を休養日とし、1日の活動時間は長くとも平日では2時間程度、休業日は3時間程度を基準とする。)。

 

これは違反したら罰則を設けてもらいたい。

脳筋顧問は自分が楽しくてやってるだけなので、生徒の将来とか健康とか成績のことなんて何も考えてないことが多い。

しかもボランティアでやってやってる立場なものだからここまで完全に無規制でやりたい放題だった。

前に書いた通り、過労死ラインを遥かに超える練習量を押し付けておいて、なんで成績が下がってるか私には判りません、みたいな馬鹿が熱血教師面をしてきた。

95パーセントの生徒が大学に進学する進学校で、成績が下がるほど部活をやらせるのはただのオナニーである。

 

 

─────

4 生徒のニーズを踏まえたスポーツ・文化芸術環境の整備
ア 校長は、学校の指導体制等に応じて、性別や障害の有無を問わず、技能等の向上
や大会等で好成績を収めること以外にも、気軽に友達と楽しめる、適度な頻度で行
える等多様なニーズに応じた活動を行うことができる環境を整備する
具体的な例としては、運動部活動では、複数のスポーツや季節ごとに異なるスポ
ーツを行う活動、競技・大会志向でなくレクリエーション志向で行う活動、体力つ
くりを目的とした活動、生徒が楽しく体を動かす習慣の形成に向けた動機付けとな
る活動等が考えられる。また、文化部活動では、体験教室などの活動、レクリエー
ション的な活動、障害の有無や年齢等に関わらず一緒に活動することができるアー
ト活動、生涯を通じて文化芸術を愛好する環境を促進する活動等が考えられる。

もういい加減、やるなら真剣にやれ、一心不乱にやれ、やめるのは逃げだなんて時代遅れな部活動は止めたらどうか。

部活なんて所詮は趣味である。

もし野球のプロになりたいなら公立学校に来てる時点で手遅れだし、楽器のプロになりたいなら吹奏楽部ではなく家庭教師でも雇って自分でやるべきである。部活をいくらがんばってもプロにはなれない。プロになれないならそれは趣味である。

そして部活の顧問なんて基本的に中高と生徒として部活をやっただけの連中で、全国大会への出場経験すらない人間がほとんどだ。下手の横好きの素人さんである。

公立の部活は投資として成立しない。ただ得られるのは「思い出」だけである。成績や入試を犠牲にしてまでやるものではない。優先順位が間違っている。

ならせめて楽しくやったらどうか。勉強の合間にリラックスするのは必要なことであるし健全なことである。

部の勝利のために、そこまで時間を投資しない生徒を居づらくしたり、あまつさえ辞めていった生徒を「心が弱い」などと評するのはもう止めるべきだ。

 

─────

エ 学校の設置者及び校長は、学校部活動は生徒の自主的・自発的な参加により行わ
れるものであることを踏まえ、生徒の意思に反して強制的に加入させることがない
ようにするとともに、その活動日数や活動時間を見直し、生徒が希望すれば、特定
の種目・部門だけでなく、スポーツ・文化芸術や科学分野の活動や地域での活動も
含めて、様々な活動を同時に経験できるよう配慮する。

 

私は田舎の中学出身なので、部活の入部は強制で、野球部か吹奏楽部の二択だった。大層迷惑だった。そもそも強制する法的根拠も無いのに。まさか2023年にもなって未だに生徒にも部活動を強要している学校があるのだろうか。

 

─────

あとは地域移行に関する内容。これは実際どうなるか読めない

 

いずれにせよ、もう無料でスポーツまで提供していくのは無理だと私は思う。

公立学校の果たすべき役割は生徒の学力の保証であって、スポーツはあくまでオプションであり、希望するものだけ追加料金を払ってやればいいと思う。

申し訳ないが物事にはコストが発生するし、そのコストを肩代わりしてきたのは教員だったので、これは正常化しなければならない。

正常化しない限り教員の労働環境は改善せず、採用試験の倍率も下げ止まらない。前にも書いた通りすでに全入時代ではあるが。