北海道野宿ツーリング⑨
14日目(8月11日(金)晴→曇)
この日は待ちに待った知床峠。予報では確実に晴れなのは午前中。テントを乾かす暇も惜しい。朝露が多少ついていたがテントを袋に突っ込んでさっさと峠をのぼりはじめる。7時前。
傾斜は5〜8%を13km。この荷物なので楽ではないが登れないこともない。
羅臼岳を見ながら折り返し折り返し登っていく。
この旅で ちゃんとした峠は初めてだが、やはり自分は海沿いを走るより峠や森を走るのが好きなんだと再確認した。
海風よりも山の澄んだ空気のほうが好きだ。暑い日差しと登り坂と木陰と冷たい空気。登りきった達成感と景色とダウンヒル。
北海道ではライダーがよくサムズアップで挨拶をしてくれる。
関東で道志とかを走っていると、むしろバイクとロードバイクは仲間ではないという関係なのだが、北海道では同じツーリングをしている者同士仲間という文化がある。
この日も多くのライダーが抜いていくときに応援してくれた。その度に親指をあげて挨拶を返す。
天気は選べない、特にロードバイクで長期ツーリングならなおさら。ここに晴れた日に来れたことがとても嬉しかった。
登りきって石碑と写真を他の観光客に撮ってもらい、またとってあげる。
ダウンヒルを始めると海が見えることに気づいた。そうか、西側からは海は見えるのか。
同じ峠でも登る方向で景色が全く違う。知床峠はどっちから登るのがより面白いだろうか。
西側の麓から2kmほど登ったところに知床自然センターがある。次は知床五湖を観光したい。
9時頃インフォメーションでどう観光するのかを聞いている最中、知床五湖で熊が目撃されたので地上遊歩道は閉鎖されたとアナウンスが入った。ここ数日毎日出るらしい。
一度目撃されると安全確認にスタッフが入り2時間は再開しないらしいので、先にカムイワッカの湯の滝を見に行くことを勧められた。
自転車でも行けるらしいが11kmほどダートらしい。クロスバイクとEバイクを貸し出していたが、ブロックタイヤではないので行けるのは知床五湖までだとか。
もし自転車でカムイワッカの湯の滝まで行きたければウトロの街でマウンテンバイクが借りられるとのこと。
素直にシャトルバスで行くことにする。
また、滝は見るだけでは何も面白くなくて、滝を登って初めて面白いとのことなのでその場でアクティビティに申し込む。当日予約ができてよかった。12時の回だったのだが、9時45分のバスに乗っていっていいとのことなのでさっと乗り込む。
バスに乗ってから分かったのだがカムイワッカの湯の滝はめちゃくちゃ遠い。知床五湖までの舗装道でも10分ほどかかるのに、そこからさらに20分ほど砂利道を走る。しかもかなりの登り。
距離と傾斜に加えて砂利道に力を奪われるのだから、知床峠を登るより辛い気がする。
普段からロングライドしてない人じゃたどり着けないんじゃないだろうか。街から知床自然センターまでもかなりの登りだし。
カムイワッカの湯の滝でバスを降りてヘルメットを借り滝を登る。
滝と言っても緩やかな川の先に2m位の緩やかな滝があって登っていくだけ。
下調べをしていなかったし気にもしてなかったのだが、水温が暖かい。川に温泉が合流し水温が20から35℃位に保たれているらしい。
登っていき源泉に近づくたびに水温が上がっていく。
昔は5つ滝を登れたらしいが危険なので今は4つだけ。一番高い滝のところに監視員の人が居たので話しかけると、熊は毎日出ているらしい。積極的に人を狩るわけではないから遠くから見かけるだけのようだが。腰には熊撃退スプレーが。持ってきたのと同じ銘柄。
下ってバスに乗って自然センターに帰り昼食。
嫌らしいことに自販機を置いておらず、センターに寄生している無添加とか好きそうなヒッピー系大学生みたいな半端な連中がやってるカフェしか無い。カレーが1500だか1800円。ラベルだけ張り替えたようなミネラルウォーター200円。セイコーマート以下のクオリティーの唐揚げとポテトがセイコーマートの2倍の値段。典型的な寄生虫ビジネス。
ここより高い場所にある知床五湖には自販機があるので言い訳はたたないよな。
しかしこれから五湖までロードバイクで登るのに空腹で水もないとキツイので渋々買う。今思えばトイレの手洗いの水でもくんどけばよかった。
ポテトと唐揚とボトル2本で2000円近い損失。国だか自治体の施設にこういったゴミ業者入れるのやめろよ。
知床五湖まで登るがきっつい。知床連峰の写真とかゆっくり撮れるのがバスにはない特権ではあるが登りがきっつい。
登っている途中でふーっと霧が降りてきて気温が下がる。やはり山は午前中だな。昨日の午後登ってたら羅臼岳は見えなかったかもしれない。今朝登ってよかった。
知床五湖を見るには15分ほどの講習を受けて許可証をもらう必要がある。7月はガイド付きでないと入ることもできない。
250円を払って講習を受けている最中、また熊が目撃されて閉鎖されたとアナウンスされる。250円は返金。
バスで来て見れなくても充分凹むと思うが、あの登り坂を登ってきて見れないと尚更くるものがある。
この時すでに14時半近く、安全確認に2時間で講習の受付が17時までなのでこの日はもう無理だろうと受付の人に言われる。
見れなかったという悔しい思い出だけ持って帰っても仕方がないので、ウトロのキャンプ場で1泊してからまた明日街からバスで来ることにした。もう1度登ってきたくはない。
帰り道のダウンヒルは寒く、登りはきつい
ウトロとのキャンプ場は満員で、夜中までキャンプ場全体に聞こえるような声で騒ぐ反社みたいなおやじ連中のせいでよく眠れなかった。
なんで偏差値が低い連中はアウトドア好きなんだろうか。