北海道野宿ツーリング⑥
9日目(8月6日(日)曇)
電波がないので何時から自転車屋が開くか分からない。たぶん10時だろうと当たりをつけてそれまではテントで過ごす。
霧状の雨も8時位には収まり、予想外にもテントのフライシートを乾かすことができた。1週間は無理かと思っていた。
10時にセイコーマートでおにぎりを食べながら自転車屋に電話する。
チューブがあった!
定休日だったらしいが開けてくれた。ありがたい。新品のチューブ2つを購入し、今の穴だらけのチューブは使えるまで使うことにする。今思えば3つ買っておけばよかったな。
タイヤの状態を見るのに息子さんまで呼んでくれて親切にしていただいた。
この日の目的地は霧多布岬。それ以降は根室までなにもないので1日ではたどり着けない。
霧多布までに寄りたいのは涙岬くらい
厚岩を出て
涙岬へ
ここが一番すごいのは蚊の量。気づくと脚に8匹は止まっている。
蚊よけのハッカスプレーを全身にかけながらじっくり見る隙もなく写真を撮って退散する。ただでさえ寒いのにハッカスプレーで全身スースーする上に蚊にも刺されまくってしまった。
途中の琵琶瀬展望台で昼食。帆立ラーメン。普通。
晴れてれば綺麗だったのかも。晴れるまで待てないし、来る時間帯も選べないし、ロードバイクと風景は一期一会だな。
無心で走って霧多布岬へ
この辺の岬はどこも切り立っていて、先端に行くイコール登らねばならない。
崎の先端に歩いていると、望遠レンズを持った方々が海を撮っている。
便乗してデジカメを向けると野生のラッコの親子が抱き合って浮かんでいた。
コンデジながら80倍以上の望遠機能がついたモデル、サイバーショットSX740HSのお陰でバッチリ撮ることができた。
だからスマホじゃ駄目なんだよなぁ。広角はスマホでもいいけど望遠だけはどうにもならない。かと言って一眼サイズはロードバイクじゃ持って行きたくないし。このモデルは最高傑作だな。デジカメの写真は帰ったらどこかにあげよう。
岬の写真
岬の先端に付くと、さっきの方々の何人かがまたカメラを構えている
「あそこにカモメの赤ちゃんがいますよ」
と教えてもらいカメラを向けると灰色の雛が2羽岩の上の草影にかくれていた。
お礼をいい、何枚か撮ってから自転車へ引き返し歩いていると
「おお、PaoPaoじゃん!」
と声をかけられる。
寒いので着ていたウィンドブレーカーの柄のことで、茄子 アンダルシアの夏という作品とのコラボの品。
神奈川の画家の方で、8月中旬までこちらで取材に来ていたそう。
その作品のことなどしばし盛り上がる。
「俺は絵を売って稼ぐということはしていなくてね、名刺代わりにフィーリングの合う人にコピーを上げてるんだけど、住所教えてくれれば送りますよ」
と言って頂いたので頂くことに。
現役の頃は船に乗っていて今は定年後に絵を書いているそう。なんと今年になって3周りも下の女性と結婚されたとか。
鳥などの動物画をかかれるそう。
昨日パンクしていなかったらこの時間帯にここにはいなかったし、晴れていたらウィンドブレーカーを着ていなかっただろうから、巡り合わせとは不思議だ。絵を頂いたらまた話しを伺う機会があるいいなぁ。
画家の方と別れて戻ってくると、またさっきの方々がカメラを構えているので見ると、別のラッコがずっと尻尾を洗っていた。
動物園だとそこまでありがたいと思わないのに、野生だとなぜかいつまでも眺めてしまうな。
霧多布岬には先端付近にキャンプ場があり、泊まる許可は2kmほど戻ったところにある温泉施設で手続きをする。なんとキャンプは無料。
まずは手続きをしてキャンプを張りに戻る。
回り道をしてアゼチの岬へ。
岬まで500mほどのダート。
写真を撮って戻ってくるとまた後輪がパンクしていた。
チューブ確認すると破れたのではなくパッチが剥がれたようだ。
所詮は応急処置だし、これまでよく保ってくれました。
昨日出発を遅らせてチューブを買っておいたのはやはり正しい判断だったな。
テントを張り、また温泉に戻り、食事をして温泉につかる。
モンキーパンチの故郷なので等身大パネルと限定グッズなどが置いてある。
じっくり入ってからキャンプ場に寒い道を走って戻り就寝。
灯台の光がテントを照らすので眩しく、また寒くて寝られなかった。
あと灯台って陸にも光が当たるのは知らなかった。
北海道野宿ツーリング⑤
8日目(8月5日曇)
雨が酷かったり雨が続くのが2日だけならここで4泊してやり過ごそうと思ったが、来週まで雨が続くのでそうもいってられない。
1ヶ月走るなら雨の中を走ることは避けられないし、そのための装備も持っているので進むしか無い。
北へ行こうか迷ったが東へ納沙布岬を目指すことにした。
内陸の整った国道44号よりも海岸線を走る根室浜中釧路線のほうが面白いかなとそちらを走ることにした。
おなじみの釧路阿寒自転車道を通って釧路中心部へ、途中道路上にでかい(1.2m位)の鳥が3羽親子で歩いていた
主にデジカメで写真を取ったので、いまスマホからはあげられないがタンチョウヅルらしい。
まさにThe early bird catches the worm.だな
釧路市街のセイコーマートで重めの補給。おにぎり2個と水分1.5リットルを積む。次は厚岩町までは補給できない。
途中昆布森の集落で落ちていた空き缶を避け損なう。
なにか擦れるような音に違和感を感じたがそのままヒルクライムしているとガツンという振動。後輪がパンクしていた
ポイ捨てするやつの手足の爪全部剥がれりゃいいのに
荷物を全部下ろしてチューブ交換してまた積み直す。雨が降っていなくてよかった。
尻羽岬に近づくと狐が道路脇にいた。近寄っても離れるが逃げない。
写真を撮ったりしていると、飛んでいるカナブンかなにかを猫のように目で追い追いかけて食べたりとサービスしてくれた。
あまりに逃げないのでここで観光客から餌をもらい、観光客には「きつね可愛かったね」という思い出を提供して対価を受け取るという経済活動をしているプロ野生動物だったのかもしれない
せっかくなので尻羽岬もよることにする
最初は行く気がなかったのだがgoogle mapのレビューでここが一番よかったと書いていた人がいたのでよる
それが間違いだった。
入口から岬の駐車場までは3km程のダートなのだが、ここでまさかの二度目のパンク。時間は12時を過ぎていた。
釧路であれだけダート走って平気だったのに。やはり一度穴が空いたたタイヤはもう駄目なのかもしれない。換えのチューブがもう無いのでパッチで対応する。4箇所も穴が空いていた。たぶん空気が抜けてから気づくまでにリム打ちしたんだろう。
次の自転車屋は厚岩に1件で、その先はスポーツ自転車を扱っていそうな自転車屋は根室にも知床にも無い。厚岩でチューブが手に入らないとかなり面倒なことになる。
気持ちを落ち着かせるためにまずはおにぎり2つで食事にする。多めに積んでおいてよかった。
パッチで修理して岬へ。
駐車場からは膝くらいまである草原を見先に向かって歩いていくのだが、道なんて大層なものはない。前の誰かがここを歩いた、という獣道の人間版があるだけ。
また枯れかけの花と蓮の葉のような植物がどうも気持ちがわるい。あの世へ続いてる道みたいだ。
痕跡を辿っていくと、本当にそんなところまで行った人がいるのかという、本当に崖ギリギリまで続いていて、海に引きずり込まれそうで不気味だった。
俺はここはいいと思わなかったな
写真を撮って自転車へ引き返し、タイヤが保つのを祈りながらダートを走る。
あのアルミ缶1つのせいで順調な旅にケチが付いてしまった。
厚岩についたらもう18時を回っていた。このあたりで霧のような雨が降り始め寒かった。晴れの日はいいが、雨の日は17時にはキャンプ地にいるような走り方をしよう。
もう自転車屋もやっていないだろうからキャンプ場へ
筑紫恋キャンプ場。テント1張り220円。シャワー300円、ランドリーが200円。
キツネを見られて良かったがパンク2回で差し引き散々な日だったが、熱いシャワーを浴びると気持ちが蘇る。洗濯もできたし。
このキャンプ場は携帯が圏外なのでさっさと寝る。
他の自転車ツーリストも5人くらい居たようだ。
北海道野宿ツーリング④
6日目(8月3日晴れ→小雨)
朝食は昨晩と同じくビーフジャーキーと乾パン。軍人かな?それも結構追い詰められてる側の。
ここから先は食料をもっと積んでおかなきゃだめだな。
調理道具は全く要らないけど、食料を積むスペースがもっと必要かもしれない。
キムさんの重武装SURLYみたいに前にパニアあっても良かったかな。ただこれ以上重くなると走る楽しみがなぁ。どこが自分の性に合ってるかであって、俺の場合この重量が楽しいの限界ではある。
7時に出発して最寄りのコンビニである浦幌のセイコーマートまで3時間かかった。途中コンビニがないどころか自販機すらなかったので途中で水がなくなってしまった。
本土に比べたら格段に涼しいとはいっても暑い。
これからはボトル3本満タンにしてから町から出よう。
この日は釧路までの移動日。特にどこもよらず走った。夕方からは小雨が降ったり止んだり。ここから1週間は雨基調。北部では記録的な大雨になる予報だ。最初に稚内を目指すか迷ったが東に進んでよかった。
釧路手前の道の駅、しらぬか、で休んでいるとおじさんに
「自転車で北海道一周?」
と声をかけられた。
「そんな感じです」
と答えて話していると、八王子の隣駅に住んでる方で、定年になり、ロードバイクを車に積んで車中泊で北海道の海岸線を走ってきたらしい。よく見るとふくらはぎの筋肉がすごい。
丁度釧路湿原の観光の仕方や次にどこへ行くか迷ったので色々話を伺う。
知床横断峠については「あの峠なら毎日登ってもいいわ、俺車中泊で車おいて登るから、もう一回登って帰ってこなきゃだし」
「結構きついんじゃないですか?」
「傾斜5%くらいで10%とか無いから大丈夫。信州とは違う」
乗り続けてる人は定年後でもすごい。
この日のキャンプ場は山花公園オートキャンプ場。施設使用料とテントサイトで2000円なので北海道では少し高いが、シャワーとコインランドリーがあり、温泉まで10分ほど。
ここに2泊して、明日は荷物をテントにおいて軽い自転車で釧路湿原を観光する。
乾パン、乾パン、セイコーマートのおにぎり、という食事だったので温泉(ホテルでもあるの)のレストランで阿寒ポークのトンカツ(1500円)を食べ、温泉の露天風呂でしっかりくつろいだ後洗濯をして就寝。
7日目(8月4日晴れ)
明け方までは雨が降っていたが6時頃にはやんでいた。稚内では150mmの予報で、普段8月の1ヶ月でに降る量が1日で降るらしい。
朝食はラスクとビーフジャーキー。
帰りに温泉に寄りたいので、フロントバッグに着替えを積んで出発。まずは釧路湿原展望台へ
廃線跡を利用した釧路阿寒自転車道を通って展望台へ、展望台は丘の上なので軽くヒルクライム。自転車が軽いので苦にならない。
展望台の営業時間前なので先に湿原展望遊歩道へ
熊鈴と熊撃退スプレーを装備。ただ熊より蚊がすごい。北海道初日に虫除けハッカスプレーを買っておいてよかった。
こんなような道を歩いていくとサテライト展望台に着く
思ったよりもすごかった。
この無料の展望台より有料の展望台の方が、位置的に、眺め良いとは思えないので有料の展望台には入らずに北に丘を下って温根内ビジターセンターから木道へ
今度は同じ目線から湿原を見る。一番長いコースで4km位のウォーキング。
戻ってきたら今度は新釧路川右岸堤防を通って釧路の市街地へ帰る。8km位?のダート道。両側には釧路湿原が広がる
このロードバイクをオーダーメイドするにあたってギリギリ32cのタイヤまで付けられるようにしておいた。
30cだとこれくらいのダートでも快適とは言えないが問題なく走ることが出来る。また25Cと比べて路面からの振動が格段にマイルドで、それは特に重い荷物を積んでいるときの車体へのストレス緩和に効果がある。
今売られている自転車は25Cまでしか履けないレース用か、40Cとかまで履けるグラベルバイクかで極端だなぁと思う。99%の人間がレースなど出ないのだから、30〜32Cのタイヤで舗装路を快適に走れる位が日本に適した調整のロードバイクで、それが大半の人に適したものだと思うのだが。
釧路湿原はこれで見終わったので、釧路阿寒自転車道を釧路湿原市街地からの始点から阿寒の終点まで走ることにした。
市街地を走っている間はウォーキングしている市民を見かける。
廃線を利用しているのでホームがあった名残。今は木が植わっている
動物園の脇を通って釧路から出ると誰ともすれ違わず、舗装も所々荒れ始める。
終点の阿寒に着いても特に何かあるわけじゃなく結構往復するのは苦痛だった。暑かったし。自販機ないし、片道25kmあるし。
走るなら釧路内だけでいいと思う。
16時から温泉に入って、温泉で夕食をとって就寝。
北海道野宿ツーリング③
ロードバイクで旅をしてると忙しくてブログ付ける暇が意外と無い
4日目(8月1日)
日の出とともに起き、テントを乾かす。昨日はテントを張るときに蚊の中隊に襲われたので急いでホームセンターで蚊取り線香とワンプッシュで蚊が皆殺しになるスプレーを買ったのだが、ワンプッシュのやつは必需品と言って良い。テントを張って中で一発御見舞すれば蚊の問題は完璧に解決する。さもなければ蚊とお互い逃げ場のないデスマッチを繰り広げる羽目になる。
テントを畳んで引き続きえりも岬を目指す。
ここからえりも岬は馬牧場エリア。漫画のような牧場の風景が続く。
折角なので途中で寄り道(往復14km)して競走馬の墓地優駿メモリアルパークへ
生クリームが利いていてソフトクリームが異常に美味しかった。
14kg程の荷物を積んでいるので信号がないのにあまり進めない。17時位にえりも岬につけるが、17時に閉園だし、えりも岬を超えると30kmほどコンビニもないエリアで温泉もない。
少し手前だが「うらかわ優駿ビレッジ アエル」でテントを張って一泊する。
ここはすごい。
880円でテントが張れて、温泉代込み。温泉が500円なので朝も入ればそれだけで1000円。更にランドリーもあり、ホテルでもあるのでレストランもある。しかもとてもちゃんとしたお味。
しかも無料で引退した名馬の見学もできる。
神。
5日目(8月2日)
日の出とともに起床。フライシートを吹いて乾かしている間に付近を荷物を積んでないロードで散策。
荷物がないロードの挙動の軽さに驚く。
競走馬の訓練センターが近くにあり、そこへ続く道が美しい
朝風呂を浴びてテントを畳み馬を見に行く
競馬をしないので生でサラブレッドを見たことがなかったが、もっとマスキュラーなのかとおもったら思ったが華奢で足が細い。
エリモ岬へ
途中途中で遠近感が狂いそうな岩を見ながら走っていく
岬が近づくとアップダウンが増え、岬手前から霧が漂い出す
岬についた
愛車と一緒に写真を取りたいので引きずって行く
風景だけ撮ってもね、そんな写真インターネットにいくらでも落ちてるし
最初は来ないつもりだけど来てよかった。
今の鈍った体力でいきなり内陸部の峠登ってたら行き倒れてたかもなぁ。
風の資料館で、この地が森林伐採で砂漠化したのを多大な努力で緑化したという歴史も知る。
えりも岬にはお土産物屋と食堂があったのだが、こういう観光地の食事処は高いので次のセイコーマートでも入いって昼食でもと思ったのが間違いだった。
苫小牧とえりも岬の間は、馬牧場か漁港か市街地だったので開けていたしコンビニ自販機にも困らなかったが、えりも岬からの広尾町に着くまで30km余りにはコンビニはゼロ。これでは行き倒れると思い、途中の個人経営の雑貨屋で乾パンと剥き甘栗を手に入れる。
乾パンなのに賞味期限が今年の冬。一体何年売れてなかったんだろう。でも田舎の雑貨店ってこんなもんだよね
そこから先はひたすら海に突き出た山脈をトンネルでぶち抜いたような道。
一体何本トンネルを抜けただろうというくらいひたすらトンネルと覆道。トンネルは神経を使うし速く走り抜けなければいけないのでとても疲れる。
なんとか広尾町について久しぶりのセイコーマートに駆け込み飲み物とおにぎりを貪る
と「Hi」と声をかけられたので振り向くと、白人の中年女性がツーリングバイクで来たところだった
そのまま45分ほど補給をしながら立ち話をする。
「Aren't you afraid of ビア?」とか言ってるので飲みにでも誘ってるのか?と???なっていたら向こうもなんだこいつ英語通じねーなみたいな顔をしていた。ベアーだった。
どこから来たのか尋ねるとスウェーデンから来たそうで、これまでアメリカ、イングランドやスコットランド、南アフリカやオーストラリア、アメリカを走ったことがあるらしい。で今夏初のアジアとして北海道を選んだのは気候らしい。大正解。この日の本州を北欧人が走ってたら、イモリの黒焼きになるか運良く生きて帰れても二度とアジアには来ないだろう。
「スウェーデンはいいわよ、どこに行ってもキャンプはただだもの」
いやこれでも北海道は安んですよ。
今の愛車のSURLYは13年来の愛車で、サンフランシスコで買って、帰国するときに売ろうと思ったが既に友達になっていたので持って帰ってきたらしい。
旅は不思議だ。家を出てから4日しか経ってないのに普段出会わないような人にもう2人も出会った。
そりゃ今後連絡を取り合うことはないけど、この短い時間の出会いでの色々得るものがある。
キムさん(彼女の名前)のキャンプ地の写真を見るとその辺の景色のいい場所で野宿しているものも結構あった。
俺はそこまでワイルドにまだなれないな。寝るのはテントでもいいけど毎日風呂には入りたい。
想定外の出会いで遅くなってしまったがこの日のキャンプ地まで走る。広尾を出てからも30km何もない牧場と林を突っ切る道。地図で見るより距離より遠い気がする。
19:45ごろ晩成温泉キャンプ場着。こういう走り方は良くないな。夜は熊と会う確率も上がるし気温が急に下がって心に来るものがある。17時にはキャンプ地につけるような走りかたをしよう。
晩成温泉の食堂のラストオーダーに間に合わなかったので乾パンとビーフジャーキーで夕食。
晩成温泉にお湯はイソジン色で、実際国内でも珍しい濃度でヨードが含まれるんだとか。
温泉500円とテントサイト500円で良いキャンプ地だった。
北海道野宿ツーリング②
3日目(7月31日)
6時頃目が覚めたのでそのまま起床。こういうカプセルホテルスタイルだと寝たもの勝ち。
麦わら海賊団とのコラボ期間らしい。最初は面白かったのよねこの漫画。俺が小学校の頃から連載してる漫画を20代の同僚教師が大好きっていうんだからすごい。
内部はこんな感じ
なんとデッキだと電波が入ることが判明したのでKindleに本をダウンロードしたり、ツーリングマップルのアプリで行き先を調べたり忙しく過ごす。
ダイナモハブからUSBの電源を取る装置が動かないので返品手続きも済ませる。これだけで予定が大幅に狂う。大迷惑。
朝食も1200円と高額なので昨日買っておいた冷凍おにぎり。
昼は食堂でキーマカレー。750円。まぁまぁ許せる範囲。
13:30下船。昨日のライダーに手を振ってお別れ。船内では見かけなかったなぁ。もっと話したかったがそれぞれ行き先がある。そういうものだ。
下船した時点でまだ北上して千歳から帯広に抜けるか、このまま南東へ進んでえりも岬を目指すか迷っていたがえりも岬にすることに。
苫小牧にはサイクルベースあさひがあるので、まずはサーモスのボトルを購入しに向う。
あったので購入。ポディウムとかで薄い断熱材入りの保冷ボトルとかあるがまぁ正直なんの役にも経たない。サーモスの真空断熱ボトルしか勝たん。冗談抜きで通常ボトルだとお湯になる気温の中で2時間後もちゃんと冷たいのは流石。ボトル自体は熱いのに中身は無事。サーモスは神。
購入してそのまま使いますと言うと、店員さんがわざわざ水でゆすいできてくれた。四国一周のときも玄関口にあったサイクルベースあさひの店員さんに親切にしてもらったな。
そのまま店員さんに、千歳から行くかえりも岬から行くかアドバイスを求めると断然えりも岬ですねとのこと。
そうしましょう。
すき家で軽食をとり苫小牧の街を出ると、すぐに真っ直ぐで信号のない道が続く。涼しいしこの時点で来てよかった。
フェリーで会ったライダーが、熊は見たことがないが鹿は至るところにいる、と言っていたが本当にいた。
17時ごろに道の駅「むかわ四季の館」に着く。
まだ走れそうだったので次の40km先の温泉まで走ってしまおうと思ったがやめてここで一泊する。
17時から温泉に入り、露天風呂でずっと空を眺めたりして過ごす。
そもそもなんで次の温泉まで急ぐ必要があると思ってしまったんだろうか。別に行きたいところをすべて回る必要もないし。なんだったら全く走らない日があってもいいし、19時頃まで走ってテントを張り、また翌日早朝から走り出すなんて苦行をしに来たんじゃなかったんだった。500円の入浴料だって20日でも1万円じゃないか。毎日17時から2時間温泉につかってテントで寝る、これほど豊かな時間の使い方があるだろうか。
このまま異世界転生したら確実に人類を滅ぼす側に回りそうな精神状態だったが、学校の外に出れば世界は美しいし人間も捨てたものじゃない。それを確認しに来ているんだった。そういう時間が誰にでも必要だし、俺には今必要なんだな。この7年間本当に同僚の公務員は糞だった。
今この瞬間もクソだと思うけど箱庭の中で毎日部活をして去年と同じ今年と来年を過ごせばいいよ。下らない言葉遊びばかりに時間を費やして教師として何も成し遂げずに校長と副校長も死んでいくがいい。君等を思い出す生徒なんていないだろうけどそれを残念に思う心もとうにないだろうし
北海道野宿ツーリング①
三日坊主とはよく言ったもので、ずっとブログを放置してる間に、フレームをオーダーメイドしていたロードバイクが納車されたり、千葉を周遊ライドして、霞ヶ浦一周して利根川サイクリングロードを最初から最後まで走ったり、ゴールデンウィークに生まれてはじめてテントを張りながら新潟から長野を5日間野宿しながら走ったり、同僚のおばさん教師に会議で話が長いと割と丁寧に指摘したら大層お怒りになられて校長に言いつけられたりと、割と需要がありそうな話が色々あったのだが、とりあえず今はロードバイクにテントを積んで北海道に来ています。
1日目(7月29日)
八王子→土浦
1ヶ月テントを積んで野宿しながら北海道まで走るということで、本当に自分に出来るのかとか、もっと準備が必用だとか日和ってしまいそうだったが、振り切って出発する。
走り出せば腹はくくれるものだ。
分かっていたが、兎にも角にも首都圏は走っていて全く面白くない。信号ばかりで失う体力と時間のありに進まないし、景色も空気も良くない。
昔仲間がいてもいいかなと思い、ロードバイク系の社会人サークルを検索したのだが、「主に23区を走ります」とか書いてあって馬鹿じゃねぇのかと思ったことがある。異論もないかと思います。
それに加えてこの日は灼熱地獄というか地獄の業火のような暑さだった。
大した距離も走っていないのに異常に疲れたので霞ヶ浦総合公園で温泉に入り、そのままテントを張って野宿。
フライシートも張らず、入口はメッシュにして、寝袋も出していないのに21時まで暑くて寝られなかった。22時から24時頃はちょうど良かったが、それ以降は半袖半ズボンでごろ寝だとほんの少し肌寒いかな位の気温だった。
本当は青森まで走ってからフェリーで北海道に渡ることを考えていたが、暑すぎて利がないので大洗から苫小牧までフェリーに乗ることにした。
船賃はコンフォートというクラスの部屋で22000円。これが良かったしこれしか空いていなかった。
2日目(7月30日)
土浦→大洗
予定が変更になり、18:00に大洗港に着けば良くなったので急ぐ必要がなくなった。残り50km程度なので昼に出ても間に合うのだ。
テントで寝ていると日が昇るとすぐ目が覚めるし、タープを張っていないのでそのまま寝ようとしてもすぐに暑くて寝られなくなる。原初的な生活リズム。
なのだが、目が覚めると既に老人たちが続々と公園に集まってくる。野宿するたびに思うのだが、高齢化と、老人の短い睡眠時間と、持て余した老後の相乗効果で、老人の至るところにいる具合に驚く。なんでこんなとこにいるんだよと、いう場所にもいる。そら死体をバレずに隠すのも大変だ。
野宿ツーリングで一番困るのが洗濯物だと思う。汗だくのジャージ、とりわけ埼玉で39.5℃を叩き出したこの日の汗を吸ったジャージ、を1日でも放置してバッグに入れておいたらどうなるだろうか。
かと言って毎日コインランドリーを使うのも時間とお金がかかる。
せっかく時間ができたので実験としてドライバッグをバケツにして自分で洗濯し、テントとロードバイクの間にパラコードを張って干してみた
洗濯機のすごいのはやはり脱水力で、手で洗濯するとどうしても脱水が足りずに乾くまで時間がかかってしまう。夜のうちに吊るしておけば重力で脱水が済むのでもっと早く出発出来たかもしれない。
洗濯物が乾くまで芝生の日陰で寝転んで空を見る。
青森まで走ってたらきっと可能な限り北海道に早く着こうと走っただろうし、北海道に着いてからも急いで回ろうと走っただろう。でも急ぐ必要なんて最初からなかったんだよな。
洗濯物が乾いたのでテントを畳もうとテントの入口を開けると中がとんでもない熱さになっていた。
置いておいたモバイルバッテリーは熱くて触れないほどだったし、オイルを染み込ませた生地の袋は油が溶けてフニャフニャになっていた。
テントでも自動車の車内みたいに高音になるのは知らなかった。
このまま温度が上がっていたらバッテリーが火を吹いたり、熊撃退スプレーが爆発してここでリタイアだったかもしれない。
ちょうどこの日の夜、フェリーのテレビで流れていたニュースで、テント内で熱中症で死亡した女性が発見されたニュースを見ることになった。
10時頃大洗へ出発したが前日に勝る暑さで、1時間に1リットル、大洗につくまでに4リットルは水分を取ったと思うが、全く下から出てこない。
距離もないし坂もないのに異常に時間がかかってしまった。
水を被りながら走ると気化熱でほんの少し涼しかったがまさに焼け石に水だった。
なぜ重いからとサーモスのボトルを1本でもう1本は通常のボトルにしてしまったのか悔やんだ。北海道についたら買おう。
14時頃フェリー乗り場についたが乗船開始は18時なのでそれまで軽く観光。ガールズ&パンツァー の聖地なのでいうほどファンでもないないが近場を巡る
暑くてたまらないのでフェリー乗り場が見えるマリンタワーへ。
なんかガルパンのカフェがあるらしいので飲み物でも飲みながらダラダラしようかと思ったのだが
雰囲気がガチ
コラボドリンクがあるだけの普通の軽食堂かと思ったらガチ。この立地でこれは悪手じゃないかなぁ。このタワー1Fの売店とこのカフェと有料展望台しか無いし。
怯んで1Fに戻ろうとしたらロード乗りがトイレから出てくる。無言。静寂。ジャージを見たらガルパンの聖グロリアーナ女学園。
甘い覚悟で来て申し訳ない。
時間まで300円で入った展望台で涼んでから乗船。
乗船待ちの列で隣になったバイク乗りの方に話しかけられる。北海道の人で埼玉まで親父さんのトライクを取りに来たんだとか。親父さんは75歳なのにまだ現役で乗られるんだとか。かっこいいなぁ。俺もそうありたい。
色々北海道のことを教えてもらう。宛のない旅でどこへ行こうか迷っていたのでここで初めて行き先が見えてきた。そうか、どこへ行こうか迷えば現地の人に聞けばいいんだよな。
なんか職場の外にはこんな面白い人がいるのになんで学校現場はああなんだろうか。
乗船。自転車乗りは4人。フェリーのこのエリアは空母みたいでかっこいい。
部屋はテントサイズだけど電源があって浴場と洗濯乾燥機があるだけで最高。
夕食は2200円なので売店でサンドイッチ。
部屋は携帯圏外なので早めに就寝。